恋人の「言いなり」になってしまいがちな人は「見捨てられ不安」を患っているかも

見捨てられ不安と境界性パーソナリティ障害

「付き合っていたころからずっと彼女の言いなりだった」

という男性の方からご連絡をいただきました。

 

その方ももちろん、復縁を願っているのですが、

「言いなりでは復縁はできない」と彼は言います。

 

そのとおりですね。

確かに言いなりのままでは復縁は難しいでしょう。

自分らしさを出すことができない限り、

良好な関係を再び築くことはできません。

 

そこで私に「何か良い方法はないでしょうか?」と

ご相談頂いた次第です。

 

見捨てられ不安が「言いなり」にさせてしまう

こういった悩みをお持ちの方というのは、

どうしても自分を卑下してしまいがちな方です。

 

他人を大切にする代わりに、

自分をないがしろにする傾向があります。

 

一見、美しい“自己犠牲行為”のようにも見受けられます。

しかし、これは自分の不安がそうさせているんですね。

 

いわゆる「見捨てられ不安」というものです。

 

 

境界性パーソナリティ障害の傾向があるとなりやすい

見捨てられ不安とは、その名のとおりですが

「自分が見捨てられるかもしれない」という不安を、

つねに持っている人、あるいは持ちやすい人がもつ症状です。

 

感情の起伏がとても激しい状態の人の、心の病の一つに

「境界性パーソナリティ障害」というものがあります。

簡単に言いますと、他人との関係づくりが苦手な方です。

 

アメリカの精神疾病の診断の手引きである

「DSN―Ⅳ-TR 精神疾病の分類と診断の手引き」によると、

下記の9項目のうち、主に5項目以上が当てはまる場合、

境界性パーソナリティ障害だと診断されます。

 

それは次のとおりです。

(原文だと難しいので簡単に言い直して記します)

    1. 「見捨てられるかもしれない」状況をなりふりかまわない努力で避けようとする
    2. ある人をとても理想化して見たと思えば、気に入らないところを見つけると手のひらを返してこき下ろす。両極端で不安定な対人関係を築きがち
    3. 確固とした「自分」というものがなく、自分がよくわからない
    4. 薬物依存、暴飲暴食、異常性愛などの特異な行動をとってしまう
    5. 自殺を試みたり、自殺をすると脅したり、自傷行為を繰り返している
    6. 突然不安になったり、泣きたくなったり、イライラしたりと定期的に気持ちが不安定になる
    7. いつも虚無感に包まれている
    8. 怒りを制御することが困難なほど、かんしゃくを起こしてしまう
    9. ひどい妄想や、自分が自分でない感覚に陥ったりする

 

いかがでしょうか。

ちなみにこれは、この障害が原因で

「社会生活が十分に送れない方」に対してつく病名ですから、

「社会生活が送れない」というほど重症でなければ、

それは病気とは考えずに「そういう傾向がある」という

ぐらいに考えておいて下さいね。

 

社会生活に支障がでるほどの問題でない限り、

それは病気ではないですから、深刻にとるべきではないです。

ただ「こういった傾向がある」ということを心に留めておくと

「役立つかもしれない」という程度に考えてみてください。

 

実際、上記のような問題に苛まれている人は多いでしょう。

「社会生活に支障が出ている」という方は少ないと思いますが、

小さな範囲での人間関係で問題を抱えている方は多いと思います。

 

見捨てられ不安を持つ人のこころ

こういった傾向がある方は、

幼少期の人間関係などの影響から他人を信じることが難しく、

対人関係をうまく築くことができないようです。

 

些細な相手の言葉で傷ついたり、不安に駆られたり、

とかく被害妄想的になり、怒りだしたりします。

 

関係が近くなれば近くなるほど、不安定さが強まるため、

より関係がおかしくなり、そのために結局、距離を置くことになります。

 

しかし、距離を置いたら置いたで、

今度は「見捨てられ不安」に苛まれるのです。

 

この見捨てられる恐怖を避けるために、

ありとあらゆる努力を払ってしまうのが、

「言いなり」になってしまうゆえんだと思うのです。

 

どうすれば見捨てられ不安を脱せるか

この言いなりに対処するのは、

自分で少しずつ訓練をしていくことが大事です。

 

こういった傾向のある方は、たとえば恋人が

「ハンバーガーにベーコンと半熟卵を付けたい」と言うと、

快くそのための追加の300円を払います。

 

しかし、いざ「自分もそれを食べたいな」と思った時に、

恋人には快く払うにもかかわらず、自分の時には

「なんだかもったいないかも。我慢してもいいや」

考えてしまって、自分を大切に扱わなかったりするのです。

 

そのくせ、後から「やっぱり食べればよかった」などと

くよくよと思い悩んだりしてしまいがちです(笑)

 

日本人には多いタイプだと思うのですが、

とにかく自分に厳しくて、すぐに我慢をしてしまうんですね。

 

もちろん、勤勉な日本人だからこそ我慢するわけですが、

そのために自分を犠牲にしがちです。

 

このような我慢が、自分への尊厳を失わせてしまい、

自分を大切にしないために自己肯定感が持てないのです。

 

重要なのは、自分で自分を認めて、自分を大切にすることです。

 

そうしなければ、一生「言いなり」のまま、

見捨てられることを強烈に怖れ続ける人生のままです。

 

ハンバーガーにベーコンエッグを付けるかどうかの問題は、

とても小さな、些細なことのように思えるかもしれませんが、

毎日、一つ一つのあなた自身の行動を振り返ってみて下さい。

 

あなた自身、どれだけたくさんの「やってみたいこと」を

我慢して生きていることでしょうか。

 

そんなことではいつまでも自分の活気ある人生は送れません。

まず、自分の人生の主人公になることを目ざして下さい。

 

自分の人生の主人公になれたとき、

復縁のきっかけも自ずとやってきます。

これは私のアドバイザーとしての経験からそう言えます。

 

ほんの些細な、あなたの心の中の「つぶやき」に

耳を傾けてみて下さい。

 

何かを主張している声が聴こえますでしょうか。

ぜひその声を満足させてあげてください。